彼の手付きがエロイ

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彼の手付きがエロイ

 その日の昼ご飯は、丸亀製麺のうどんにした。  ご飯ものはさけたぞ。夕ご飯が鰻丼かと思うと、つい顔がゆるむ。  職場は少しクーラーがかかりすぎなので、温かいうどんが体に嬉しい。  ネギも、たっぷりといれた。私は、天かすはあまり好きじゃない。  さささっと平らげて、「ごちそうさま」とともにお店を出て、職場に戻る。  さて、その日の夕方、部屋に戻ると彼はまだ帰っていなかった。  首をキリンさんのように長くして待っていたら、六時すぎだろうか、彼が帰ってきたよ。 「ただいま。」「お帰り。」  玄関までお出迎えに行くと、彼は私との約束を守り、ちゃんとスーパーの袋を持っていた。仕事帰りにスーパーに寄ってくれたんだね。  鰻以外にも、何か買っているらしい。めっちゃ、テンションが上がる。 「はいはい、直ぐに支度を始めます。お姫様は、あちらでお待ちください。」  彼は意地悪く笑った。 「もう、わかってるくせに。鰻がどう美味しくなるか、見たいに決まってんだろう。」  私は、彼の肩を軽くはたいた。 「仕方ないなあ。教えてやるとするか。」  本当は見せたくて仕方がない彼は、いそいそと台所へ向かった。 「ジャーン。国産のジャンボ鰻、しかも浜名湖だぞ。一尾で2180円だ。どうだあ~、まいったか。」 「ははあ~、まいりました。」  私は素早く一人1090円かと計算した。  ぶっちゃけ、それが安いか高いかわからないが、彼はご機嫌で調理を始めたので良しとする。  彼は、まず、お湯を沸かし、鰻にかけ始めた。 「ちょっと、何するの。馬鹿じゃない。タレが、落ちるじゃないの。」  私が慌てて叫ぶと、彼は憎たらしいくらい落ち着いて、こう答えた。 「大丈夫、タレは買ってきた。こうやって、タレを洗い流すとともに、焦げもとるんだ。」 「ふう~ん、そうなの。」  私は悔しいが、黙って見守ることにした。  彼は、キッチンペーパーで表面の水気をふき取り始める。  その手つきが優しくて限りなくエロい。  私もお風呂から上がったら、彼に・・・・。なんて、妄想をしてしまった。  そんな私の妄想関係なしに、彼は突然聞いてきた。 「関西風、関東風、どっちがいい。」 「えっ、美味しかったらどちらでもいいけど。」 「・・・・・・・」  こんな時の彼の眼は、メッチャ怖い。  良く言えば、美食の伝道者、はっきり言えばこだわりの職人、いや頑固親父と化す。 「大変、失礼しました。関西風と関東風の違いは何ですか。無知な私に教えて下さい。」 「猿にでもわかるように、教えてあげよう。関西風は、サクサクふわふわ。  関東風は、トロトロふわふわだ。さあ、どっちにする。」 「じゃあ、関西風でお願いします。」  実のところ、よくわからないが、私は即答するのであった。
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