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 悠斗はスーツを着るような誰かと随分たくさん寝た経験があるのではないのか。手際よくスーツを脱がされた晶は、自分の肌に舌を這わせる悠斗を見つめ、そんなことを思った。 「晶さんって基本、声我慢する人?」  目が合った悠斗は、獲物に食らいつくように晶の胸に唇を寄せた。軽く甘噛みされそのあと舌先で先端を転がされればそこから刺激が走っていく。 「んっ、そうじゃないけど……ここ、壁厚くないし……っ、ふ、ぅん……」  自分から刺激を甘受しようと赤く腫れあがった両の乳首を今度は指先でもてあそばれ、晶は身を捩って快感をやり過ごす。 「気にしなきゃいいのに。いつも俺が声聞かせてるんだから、今日は晶さんの声聞かせて」  そう言うと、悠斗は既に上を向いて涎を垂らしている晶の中心を緩く握り、そのまま手を動かす。直接の刺激に晶は思わず大きく声を漏らした。それを聞いた悠斗が悪戯めいた顔で微笑む。 「もっと聞かせて、晶さん」  悠斗が更に手を動かす。同時に胸を吸われたら、気がおかしくなりそうなほど気持ちよかった。 「あ、やっ、い、くっ――!」  晶は背をのけぞらせ、悠斗が導くままに絶頂へと昇り詰める。白濁を悠斗の手に吐き出すと同時に、晶の意識は白の彼方へと消えていった。 「おはよう、晶さん」  そんな優しい声が聞こえ、晶はゆっくり目を開けた。そこに悠斗の顔がある。 「……おはよう、悠斗くん」  昨日あのまま眠ってしまったらしい自分は、当然何もかも昨日のままでなんだか恥ずかしい。所在なく視線を泳がせる晶を悠斗が抱き寄せる。驚いて間近にある悠斗の顔を見つめると、ねえ、とその唇が開いた。 「晶さん、次はちゃんと晶さんを抱くからね」  悠斗が嬉しそうに言って微笑む。 「……次?」 「……ダメ?」  ここでダメと言ったら悠斗はもう歌ってくれないかもしれないと思うと晶は頷くことが出来なかった。  悠斗にとって、自分とのセックスは、興味本位なのだろう。それでも自分の体が対価なのだというなら、受け入れるほかない。  晶には、悠斗の声が必要だった。 「ダメ、じゃないよ」 「よかった。じゃあ、今夜またね、晶さん」  笑顔でベッドを出ていく悠斗を呆然と見ながら、晶はぽつりと呟いた。 「……ホントにいいのか、これで……」
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