「夢」

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「夢」

 月に降り立つと、 すぐ頭上の、 手の届きそうなところに、 青い月が出ていることに気がついた。  僕はあれが地球なのだということを知っている。 「青く輝く宝石みたいだ……」 ここが宇宙なんだな。 あれが地球なんだな。  月では身体がふわふわと浮かび上がってしまって、とても歩きにくかった。  僕はあらかじめ用意していた加重(かじゅう)ドリンクを飲んだ。 「おっ、すごい。地面に足が吸い付いた」  月の上を、 普通に歩くことができるようになった。  下準備は完璧さ。 旅のしおりはバッチリ読み込んできている。 「へえっ、月って意外と明るいんだな」  そういえば、とくになんの不自由もなく、もの見ることができている。 「青い地球の光も、月に降り注いでいるのだな?」  それとは逆に地球では、 真っ暗な夜の闇を、 月の明かりが照らしてくれている。  僕は、輝く月の秘密を解き明かしにきたのだ。  それから僕らは、月の観光マップを手に、『水晶の谷』を目指したのだった__。
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