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私は、状況が理解出来ず、戸惑いを隠せなかった。冷静ではいられなくなり気持ちを落ち着かせようとして深呼吸をした。
「宇佐見さん、どうしたんですか?」
私の頬に千鶴くんが手を当てた。
「だっ…大丈夫だから…。」
千鶴くんは、心配そうな顔で私を見つめる。
「どうして、ずっと見るの。」
冷たく言ってしまった言葉も
「そんな顔されると気になってしまって。」
千鶴くんは、千鶴くんなりの言葉で返してくれる。
時計が二人の時間を刻んだ。
今日早起きして良かったな。
今日早く学校に来て良かったな。
その言葉の代わりに
「私、今日ゆっくり学校に来れば良かった。」
強がりの言葉を選んだのは、千鶴くんの前だと
素直になれないから。
「それが本音ですか?」
「そ…そうよ。」
今日の始まりにあなたが居たから何だかいつもとは違う景色が見えた気がしたんだ。
二人だけの教室も悪くないね。
少し微笑む私。
この時間が続けばいいな……なんて言えないけど。
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