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クラスメイトが次々に来て私と千鶴くん二人の時間は終わってしまった。
「もう少しだけ……」
思っていた言葉がつい声になってしまった。
私は慌てて視線を千鶴くんに送る。
千鶴くんは気づいていないのか席に着いた。
私もそのまま席に着き、深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとする。
「もう少し二人の時間がほしかったですね」
「な…なに言ってるのよ」
私と同じことを思っていてくれたことが嬉しかったんだ。
「あの…宇佐見さん言いたいことがあるんです」
「なに?」
「宇佐見さんって…き……」
キーンコーンカーンコーン
朝のチャイムで千鶴くんの声は、かきけされた。
「なんて言ったの?」
どうしても聞きたくて千鶴くんに聞いたが
千鶴くんはなにも答えなかった。
ただ、千鶴くんの顔が赤くなっていたことは分かった。
もしかして、褒めてくれたのかな……。
「みんな静かにしろ。朝礼始めるぞ」
先生の声が私には聞こえず私は千鶴くんに声をかけていた。
「千鶴くん…やっぱりさっきの言葉聞きたい」
千鶴くんが、また何かを言おうとしたとき
先生が近くに来て
「宇佐見静かにしろ」と私に注意をした。
「ごめんなさい……」
「朝礼始められないだろ」
私は責められた感じがして泣きそうになった。
今日、朝楽しかったのに……。
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