書き物の女神様が、手紙を持ってきた。

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 オレが小説を書く理由? 作品内の世界ではオレが神様だからだ。ネットの小説投稿サイトで、自作小説作品を、こつこつ発表している。  登場人物を生かすも殺すもオレの自由。  この前、車を運転してて、標識に気がつかず、一方通行を逆走しかけてしまった。反対から来た車の男性ドライバーに、路上で注意された。ご近所の方だ。その場でオレが相手に謝って、車をバックさせた。  その日の夜に、自作小説をパソコンで書いてやった。  (ドライバー)をモデルにした人物を、これでもか、思いつくまま、痛い目に合わせてスッキリした。  傾斜のある駐車場で止めておいた車に、他人のショッピングカートがぶつかり、ボディーがへこむ物語だ。そこから、大きな事件に巻き込まれるのだ。(ドライバー)は、警察官でもないのに、事件を捜査する。  (ドライバー)は万が一に備えて、証拠として残る手紙で、毎日、刑事に捜査経過を郵送する。最後は犯人が、手紙を不審がるのだ。刑事宅の郵便ポストから犯人が封筒を盗む。  (ドライバー)は、逆恨みされて、犯人に捕らえられるのだ。刑事は、帰宅しようと曲がり角で曲った際に、偶然、自宅前のポストに腕を伸ばす犯人を遠くから見かける。郵便物泥棒を、電柱に身を隠したりしながら、尾行する。刑事が監禁された(ドライバー)を間一髪で、助けるのだ。  監禁現場に突入して、(ドライバー)を助け、犯人と格闘の末逮捕した。刑事のモデルは、当然オレだ。  夜、自宅で推敲し終わった作品を投稿した。今回は、帰宅途中に寄ったショッピングモールで、美人だが少し愛想のない女店員を、モデルにしてやった。閉店時間直後に、乾電池だけ買ったんだ。レジ係をしていた女店員は、笑顔だったが、目が笑ってなかった。
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