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〈前略 この小説の主人公の殿方は御貴殿で御座いますね。さあ、御貴殿を小説作品の中にお入れして、差し上げましょう。 かしこ〉
気が付くと、オレは満天の星の下、アスファルトの道路で仰向けに眠っていた。起き上がり、さっきの女神なる女を探すが、人は誰もおらず、街路灯の明かりがオレを照らすだけだ。
突然、背後から抱きつかれた。慌てて、両腕で振り解く。突き放せば、女だった。背中に回りこみ、胸の膨らみを背中に押し付け、抱き付きながら大好きと叫んでいた。店の制服姿でオレの体から離れてくれない。
「キミとは終わったんだ」
「車代のニ千万円を返すか、私とずっと一緒に居て」
野次馬が、黒山の人だかりになっていた。世間体が悪い。ハーレム作品で、新車を頼んでもいない設定で、誕生日に、一方的に、プレゼントしてくれた。諸経費も込みだ。作中では、いつもドライブで使っている。
「お騒がせしてすみません」
居心地が悪いを通り越して、逃げることにした。女の腕を叩いて、振り払う。
路上で仰向けに倒れてしまった。苦しそうに身をよじらせている。赤色灯を回転させながら、走って来るパトカーに手を振りながら、助けを求めた。オレのハーレム作品に警察は出てこない。
止まったパトカーから降り立ったのは、警察官の制服に身を包んだ、書き物の女神なる女だ。
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