書き物の女神様が、手紙を持ってきた。

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「女神様、助けてください」  バインダーを取り出して、ボールペンで何かを書いていた。それを片手でぶら下げて見せつけれた。 〈これからを御貴殿(ごきでん)どうしようかしら。 貴女(きじょ)がご逝去(せいきょ)されて、殺人と結婚詐欺師で、刑務所で一生暮らしてもらうっていうのは、如何(いかが)御座(ござ)いましょうか〉  ざわめいた野次馬たちは、お巡りさん、この男が犯人です、と指差している。警察官姿の女神はバインダーを脇に挟みながら、頬に指を沿え考え込んでいる。オレはアスファルトで、土下座した。アスファルトででひざが痛いが、涙で視界が滲む。 「元の世界に返してください」  顔の前にメモが落ちる。両手で必死に拾った。 〈前略 此方(こちら)世界の神様はどなた様だとお思いで御座(ござ)いますか。 かしこ〉 「あなた様です。書き物の女神様です!」  顔を上げた。視界を埋め尽くすのはパソコンのモニターだ。  オレはパソコンデスクに突っ伏し、自室で眠っていた。しかし、腕時計の指す時間はさっき、女神が現れた時刻だ。真上から、往復ハガキが落ちてきた。オレは恐る恐る天井に首を巡らす。蛍光灯の明かりしかない。
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