4人が本棚に入れています
本棚に追加
☽︎︎.*·̩͙
「ねえ、今からちょっとしたゲームをしようよ」
月明かりが辺りを照らす夏の日の夜に日向と手持ち花火で遊んでいた時、日向がそう言った。
日向を誘って花火セットを2人で買いに行って、うきうきしながら準備をして始めた花火も、もうすぐ終盤。花火セットの中身も、線香花火が数本残っているだけだった。
日向が言ったゲームは、2人で線香花火に火をつけて、先に落ちた方が負け。負けた方はひとつ秘密を打ち明ける、というルール。
「簡単で平凡だけどただ花火をするより面白いでしょ?」
そう言って日向はふわりと笑った。その笑顔を見て胸が高鳴るのと同時に、顔に熱が集まったのを感じた。
私は日向が好き。日向とは家が隣で、幼馴染みだった。だから小さい頃から、学校に行く時も遊ぶ時も、いつも一緒だった。日向のことはずっと親友として好きだった。
でも、それも三年前まで。三年前、中学三年の冬、日向に恋人ができた。日向は少し照れながら、恋人ができたことを私に報告してくれた。
だけど、私は日向に恋人ができたことを素直に喜べなかった。普通は親友なら、親友に恋人ができた時に一緒に喜んで祝えると思う。でも、私は喜べなかった。日向の喜んでいる姿を見てどうしても、もやもやした気持ちが消せなかった。
私が日向のことを好きだと気づいたのはその時だった。
最初のコメントを投稿しよう!