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「ねえ、今からちょっとしたゲームをしようよ」  月明かりが辺りを照らす夏の日の夜に日向(ひなた)と手持ち花火で遊んでいた時、日向がそう言った。  日向を誘って花火セットを2人で買いに行って、うきうきしながら準備をして始めた花火も、もうすぐ終盤。花火セットの中身も、線香花火が数本残っているだけだった。  日向が言ったゲームは、2人で線香花火に火をつけて、先に落ちた方が負け。負けた方はひとつ秘密を打ち明ける、というルール。 「簡単で平凡だけどただ花火をするより面白いでしょ?」  そう言って日向はふわりと笑った。その笑顔を見て胸が高鳴るのと同時に、顔に熱が集まったのを感じた。  私は日向が好き。日向とは家が隣で、幼馴染みだった。だから小さい頃から、学校に行く時も遊ぶ時も、いつも一緒だった。日向のことはずっと親友として好きだった。 でも、それも三年前まで。三年前、中学三年の冬、日向に恋人ができた。日向は少し照れながら、恋人ができたことを私に報告してくれた。  だけど、私は日向に恋人ができたことを素直に喜べなかった。普通は親友なら、親友に恋人ができた時に一緒に喜んで祝えると思う。でも、私は喜べなかった。日向の喜んでいる姿を見てどうしても、もやもやした気持ちが消せなかった。  私が日向のことを好きだと気づいたのはその時だった。
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