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数分前と同じように、二人で一緒に線香花火に火をつける。さっきは日向に勝てるように祈っていたけど、今度は自分が日向に勝ちたいのか負けたいのか、もうよく分からなかった。勝てば、日向の好きな人が分かり、負ければ、日向への告白が待っている。正直、勝ちたくも負けたくもなかった。
「おーい、月〜?おーい!」
「え、」
うだうだと考えているうちに勝負はついていたようで、日向に話しかけられて気がついた。私の線香花火はまだ静かに燃えていて、結果はまた私の勝ち。勝ってしまった。
嬉しいのか悲しいのか、自分の気持ちが分からなかった。
「月〜、なんでそんなに強いの?」
「偶々だよ、多分」
不服そうな日向に笑いかけていると、じゃあ言うよ?と日向の声が聞こえた。
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