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 拓己は、よく私に相談をしていた。日向のいない所で。内容は恋愛相談。  拓己は、日向のことが好きだと言っていた。「私の方が日向のこと好きだし!」なんて冗談みたいに言ったこともあったけど、「いや、俺は真剣に相談をしてるんだけど!」なんて言われたりして。  応援するような言葉を掛けたことは覚えているけれど、真剣に相談に乗ったことはあまり無かった、かも。悔しくて、拓己のことが羨ましくて素直に相談に乗れなかった。  本当は、私と日向は同性だし、告白は出来ても付き合ったりするのは多分無理だって分かってた。ただ、ずっと認めたくなかっただけ。  でも、もう分かった。ごめん、拓己。これからは真剣に相談乗る。  その方が今までよりも少しだけ、自分のことを好きになれそうな気がするから。  今だけでも、なんとか気持ちを切り替えようとしながら二人で花火を片付けていると、花火セットの袋の中に線香花火が一本残っているのを見つけた。 「ごめん」  誰に向けてなのか、どんな理由なのかもわからない謝罪の言葉が零れた。私はその線香花火をバケツの水の底に沈めて、片付けを続けた。 「月〜片付けも終わったし、そろそろ帰ろうよ」 「そうだね、帰ろ」  一通り片付けや掃除を終えて、日向と私は帰路についた。綺麗だったね、なんて話をしながら。  月明かりが、なんだか私を元気づけようとしてくれているように感じた。 「ねえ見て、日向。月が綺麗だよ。」
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