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それを見たトトは愉快そうに笑います。
街から自分への批判の声は消え、聞こえてくるのは雨が地面にぶつかる音と黒い雲の中で鳴りやまぬ雷音だけ。
ボクの事を認めない街の人達なんて消えてしまえばいいのに。
その後、適当に選んだ街の家の壁に落書きをしたり、別の家の天井に穴を空けたり、城の外へつながる橋を壊したりと様々なイタズラを楽しんだトトは満足して城へと戻ります。
自分1人だけの笑い声を曇り空に響かせながら。
自室に戻ると王と王妃がトトのベッドに腰を掛けた状態で待っていました。
ただいまと笑って見せても2人からはおかえりの返事が返ってきません。
どうやら王と王妃は少し怒っているようです。
「トト、また街の人達にイタズラをしたのかい」
「いつまでも人に迷惑をかけてはいけないわトト」
またいつもの説教かとトトは溜息をつきます。
「こんなことを続けていては、いつか皆に見放されて1人ぼっちになってしまうぞ」
何故ボクが怒られなければいけないのだろう。
自分の文句を言っていたのは街の人達の方なのに。
ボクは王子で、特別な力も持ってる。偉くて強くてかっこいいはずなのに、どうして誰も認めてくれないのだろう。
心の中にモヤモヤした気持ちを抱きながらも大切な親には逆らえなかったトトは適当に反省したような顔を作って見せるのでした。
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