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その日の夜。
トトはベッドの中で明日はどんなイタズラをしてやろうかと悪い顔で考えていました。
昼に王と王妃から聞かされた言葉などもう頭には残っていません。
「……トト……聞こえますか……トト……」
すると、どこからともなく自分のことを呼ぶ声が聞こえてきました。
こんな時間に一体誰だろう。耳を澄ますと声は外の方から聞こえてきます。
恐る恐るバルコニーへ出て周りを見わたしますが、誰の姿もありません。
「上です。こちらですよトト」
今度ははっきりと聞き取れた声に従うように顔を上げると、そこには夜空に浮かぶ白く丸い大きな月がこちらを見ていました。
昼間にトトが大雨を起こしたはずなのに、今は何故か雲一つなく美しい月光だけが闇を照らしています。
「ようやくこちらを見てくれましたね」
月が話しかけてきたことにトトは驚きつつも、震える声で尋ねました。
ボクに何のようだ、と。
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