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月は答えます。
「あなたには生まれつき不思議な力がありますね?」
ああ、そうとも。ボクには特別な力があるがそれがどうしたと、トトは偉そうに胸を張りながら自慢げに鼻息を鳴らします。
「その力を与えたのは月であるこの私です。民衆を大切にする偉大な王と王妃の子供ならば、その力を人々の為に使ってくれるだろうと思い贈った力でした」
そう説明をする月の声はどこか悲しそうでした。
「だけど、あなたはその力を使ってイタズラをするばかり」
力を自分の為に使う事の何がいけないのか。トトには月の言っていることが理解できません。
月は尚も言葉を続けます。
「トト王子、どうか力を正しい事に使ってください」
トトはすぐに首を横に振って断りました。
自分に文句ばかり言う奴らの為にこの力を使ってなんかやるもんか。月にはっきりと聞こえるようにトトは叫びます。
しばしの沈黙の後、月は本当に残念そうな声でこう言いました。
「それではあなたは自分の我が儘の為に力を使った罰を受けなければいけません」
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