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馬鹿馬鹿しい、こんなに強い力を持っている自分が罰なんて受けるものかとトトは月に背中を向けて自分のベッドへと戻りました。
夜空に浮かぶ美しい月も、それ以上何も口にすることはなく、やがて太陽が昇って朝がやってきました。
眠い目をこすってトトはベッドから体を起こします。
昨日の月との会話は夢だったのだろうか。窓の外にある空にはもう月はなく、疑問の答えを確かめることは出来そうにありません。
まぁどうでもいいかと背伸びを済ませたトトは朝からさっそくイタズラをするために街へと飛び出します。
しかし、今日の街の様子はどこか変でした。
広場もお店も、路地裏にも、いつもは賑わっているはずなのに今朝は1人も外に出ている者の姿がありません。
なにかおかしいなと感じたトトは空から街へと降りて民家のドアを叩きます。
しかし返事はありません。
隣の家も、その隣の家も、更に隣の家からも反応が返ってくることはありませんでした。
きっと街の奴らはどこかに隠れてボクをからかっているのだな。怒ったトトはとても強い風を街中に吹き荒れさせましたが、やはりどこからも叫び声や悲鳴は聞こえてきません。
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