【聖夜のひみつⅡ】

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「ーーー」 タケトはあんぐりと口を開けた。 何故って、今自分が、もみの木よりもさらに上空にいるから。 土を踏みしめていない脚の裏が気持ち悪くて、心臓の裏っ側がゾクゾクと震えた。 「ふむ… あそこから繋げてみるか… えーと…ユキムシは… ふんふん… 寒い○○地方にいると… ーーーそぅれっ!!」 黒須はメモ帳をパタンと閉じて内ポケットにしまい、それと交差に同じ所から細い枝のような物を取り出した。 それから掛け声と共に、もみの木の頂上に飾られている大きな星の電飾目掛けて、その枝を思い切り振った。 すると、星の周りをうっすら白い筋が丸く縁取って、円と星の間の空間が恐ろしく真っ黒な闇で潰れた。 「さぁて来るかな… 5… 4… 3… 2… 1…」 黒須のカウントダウンの間、耳がキィンと鳴るくらいの静けさが包んだ。 耳が痛ぇ、とタケトが思った瞬間、塗り潰された闇から、ボフンッと白い煙が出てきた。 いや、煙ではなかった。 お尻に綿毛を纏った小さな羽虫だった。 それはそれはとんでもない数で、クラッカーが鳴らされたみたいに、飾りの星から四方八方へ飛び散った。 それと同時に、17時を告げるメロディーが町の拡声器から流れて、それを合図にもみの木のイルミネーションが始まった。 タケトの足下から、地上から、わあぁと歓声が上がり、 【あれっ、雪?】 【いや違うでしょ、モールの演出かなんかでしょ】 【でも綺麗ねぇ、本当に雪が降ってるみたい】 そんなどよめきがある中で、 【サンタさん! ありがとう! ハルちゃんと一緒に雪みれたよ! ハルちゃんが行ってしまう前でよかった… あああ…】 あの子の声がどういうわけか聞こえた。 「あぁー…まぁ…いっかぁ… この後、大雪になるはずなんだけどねぇ、ジンクスによれば。 うん、まぁ、喜んでくれたなら、いいや。ハッハッハッ」 黒須は複雑な顔で乾いた笑いをした。 …
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