【聖夜のひみつⅢ】

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ーーー今夜は静か過ぎて耳鳴りがする。 いつもなら自分の弱々しい呼吸と心電計の冷たい機械音が、この病室に響き渡るというのに。 もう、ずいぶん生きたなあ。 友達や歳の離れた弟さえ、俺より先にいってしまった。 俺の命の灯は、あとどれだけある? 今日は、何月何日…? 「12月24日じゃよ」 そんな声と共に、鈴が鳴った気がした。 俺はもう目を開けても何も見えない、見舞いに来てくれる孫達の顔も見れない。 のだけど、どういうわけか、その声の主の姿を捕らえる事が出来たのだ。 派手な真っ赤なネックウォーマーで口まで覆っていて、 緑のネイティブ柄の刺繍がなされている、これまた真っ赤なポンチョを羽織って、 またまた真っ赤なナイトキャップを目深に被ったこの老いた男は、一体どこから沸いて出てきたのだろう。 彼は俺が寝ているベッドの縁に腰を下ろして、優しい眼差しを俺に向けた。 「ホーッホッホ。 ワシが見えるか? ということは、おまえさんの使命は、 確かに終わったということじゃなあ。 よくもまあここまで。ホッホッホッ」 …
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