【聖夜のひみつⅢ】

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彼は目を丸くして、ネックウォーマー越しに顎を撫でて言った。 「なぜ? おまえさん、自分でも分かっとるじゃろう。 もう虫の息だと。 おまえさんが願えば、寿命を延ばすことも出来るが?」 「いいや、 俺はもうずいぶん生きた。 子供達や孫達が時間やお金をかけて色々としてくれるが、 もう…そんなことを俺にしなくていいように… 会話も出来ない、顔も識別出来ない、こんな俺なんかの為にしなくていいように… どうか俺をむこうへつれていってくれ。 妻が…むこうで待っているはずだから…」 俺の目尻からひと筋の涙、それを認めると、彼はまたポンチョの下をゴソゴソしだして、手を高く掲げた。 その手には柊の枝葉が飾られた小さなベル、りぃんと鳴り響かせると、光の波紋が彼の足元から広がったのだ。 光が眩しくて目を強く閉じ、また開いた時にーーー俺は、雪降る病院の外の宙を浮いていた。 【…午後11時04分、ご臨終です…】 【…おじいちゃん…!!】 自分が横たわっていた病室に沢山の息子娘孫達が、わんわんと泣いていた。 …
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