【黒須の行く先々に】

16/16
前へ
/74ページ
次へ
老人は乾いた笑いをしてしばらくおいた後、は、と小さく息を吐いて、薄暗がりの向こうの僕を真っ直ぐに見つめた。 「わたしは…昨年で役目を終えたんだ。 わたしが思い描いた通りなら… 願いを、叶えにきてくれたのかね…?」 同じように僕もしばらくおいてから、言った。 「そうさ。 ……そうともさ」 そして僕はゆっくりと、自分と彼との距離を縮め始めた。 ーーー彼の灯火の貯蓄と、それに値する何かを、引き換える為に。 なんでもかなえてアゲル さァ アナタは ナニヲ ネガウ?    黒須の行く先々に〈完〉 ーーーーーーーーーー [オリジナル執筆期間] 2017年12月25日~2018年5月27日
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加