【教会に集う者】

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 若者は司祭様を見上げた。 「いや、おあいこですよ。僕もあの人に祈りを貰ったから」  厚い前髪で隠れているから表情は分からないが、口角が上がっていたので彼もまた穏やかな顔でいるのだろう。 「あなたは、灯火を見ていかれないのですか」  若者が立ち上がって外に出ようとするのを、司祭様はふいに止めた。  若者は肩越しに司祭様を見て、 「僕の()は大丈夫でしょう。けれど、もし、小さく消えてしまいそうになっていたらその時は、司祭様が新しく継ぎ足して下さいな」  なんて、冗談ですよ冗談、と付け加えた後にパチンと指を鳴らすと、司祭様のまばたきの瞬間に姿をくらました。 「ーーお気をつけて」  どこまで本気だったのか、司祭様は計り知れなかったが、若者がいなくなった空間にそう言葉を投げて、再びもみの木の(たもと)へ歩み寄った。 「悩める使者はもう、今年は来ないでしょうか。  この聖夜が全ての人々にとって、実りのあるものとなることを願い(たも)うーー」  煌々と燃える使者の心の灯火たちを、司祭様は優しいとも哀れともいえない眼差しで見つめ、再度胸の前で十字を切るのだった。    教会に集う者〈完〉 ーーーーーーーーーー ※ここを書いている今、もう大晦日です!(^_^;)  年内に終われただけでもよし!  皆様は今年のクリスマスはいかがでしたか?  明日からの新しい年が素晴らしいものと  なりますように。 [執筆期間] 2020年12月24日~31日
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