【使命人は受け紡ぐ】

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 さっき私が言った事を聞き流せない、彼は確かにそう言ったが、私は何を言った?  うんと高い物を── 「そうそれ、よくない気持ちは自分に返るから、やめた方がいい」  今度こそ口に出していないというのに、彼はエスパーの様に私と対話する。あんた何者だ、この心の問いにも彼は答えた。 「ああそんなに警戒しないでくれ、僕はしがない新聞配達だよ」  うそだ、いっぱいの新聞なんて持ってやしないじゃないか。 「新聞は社用車に置いてる。駐車場に停めて、持てるだけ持って歩き配達をするんだ。  ここいらの分は配り終えたから、次のエリアに行く前に少し休憩していたのさ」  だったら私に構わず黙って休んでいればよかったのに。 「だから、聞き流せなかったんだってば。  キミ、見た所色々と不満があるようだけど、何も知らないからそんな事が言える。  知らないとはなんて、悪意が無くて罪深いんだろう」  妙に説教くさい彼をこれでもかというくらい怪訝に──本当に警察を呼んでやろうかと──見つめると、彼はハッとなって「参ったな」と頭頂部をガリガリと掻いた。 …
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