チュールとレースとベルベット【差分】

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 昼の学食は、人ごみでごった返していた。  そんな中、ようやく見つけた空席に腰かけ、尊はトレイをテーブルに置いた。 「和風パスタと、豆腐サラダですか」 「お前は」  頭上から掛けられた声に、尊は身を固くした。 「海斗!」  さっ、と海斗の顔が赤くなった。 「俺のこと、名前で呼んでくれるんですか」 「し、下の名前しか知らないからな」  それより、と尊は凄んだ。 「昨日はよくも!」 「ここ、座ってもいいですか」  はぐらかし、返答を待たずに向かいの席に掛ける海斗だ。  まるで平常心の海斗に、尊は冷静さを取り戻した。
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