チュールとレースとベルベット【差分】

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「食いながら、聞いてやる。席に着け」  向かい合わせに腰かけ、尊はトーストをかじった。 「何だよ、聞いて欲しいことがあるんじゃなかったのか?」 「聞きたいか?」  勿体ぶっちゃって、と海斗は卵を口にした。  とろける黄身が絶品だ。  我ながら美味く焼けたと気持ちよくなったところに、尊が声をかけて来た。 「今日はさ、記念日なんだ」 「記念日? 何の?」 「俺が、海斗と二人で女装してお茶した記念日」  ああ、と海斗は思い出した。  そういえば高校生の時、そんなことがあったっけ。
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