かぐやひめ

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 みんな、褒めてくれていた。  よくやったって……、そう言ってくれていた……。  それなのに、知っている人が誰もいない場所に堕とされて、そこで過ごせと言われた。それがお前の罰だと。  何もわからず、新しい自分になって。  どうやって生きればいいのかもわからず、辛くて辛くて……。  そんなとき、血のつながらない人たちに拾われた。  子どものいないその夫婦は、私を大切に育ててくれた。  蝶よ花よと育ててくれた。  優しく、気持ちのいい人たちだった。  いつの間にか、金子(きんす)が夫婦に届いていた。  誰が与えたのかわからない。  月を見上げ、答えを求める。  でも、知ることはできない。  向こうは私の様子を知れるけれど、向こうの様子はわからない。向こうからの連絡はこちらにとどかない。
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