かぐやひめ

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 断っても拒んでも迎えは来てしまった。  この地の人たちでは、どうすることもできない。 「私は月に帰ります」  それを育ててくれた父母に言い、愛する人の顔を見た。  彼は何も言わなかった。  戻ることが私のしあわせだと言うかのように。  残念だとも、思わぬように。 「お元気で」と、それだけを言う。  願わくば、永く生きて、また出会いたい。  そして、不老不死の薬を渡す。  生きていれば、また会えるのだから。  でも、その願いは、彼らに伝わらなかった。
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