エピローグ

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エピローグ

白い部屋。白いカーテン。 白いベッドに、白いシーツ。 真っ白で清潔な病院の一室で、菜乃葉は、ほぅ·····と溜息をつく。窓の外は、晴れ渡る青空。 点滴のチューブに繋がれた腕が、何となく冷たく感じる他は、特に痛くも痒くもない。 ベッドに身を横たえて、菜乃葉は、そっと視線を巡らせる。 そこには、丸椅子に腰掛けた夫──陽介がいた。その膝の上には、可愛い目をクルクル輝かせる愛児、広夢が座っている·····そして。 菜乃葉のベッドの横にピタリと寄り添うようにセットされている透明なベビーベッドには、生まれたばかりの小さな小さな『女神』が眠っていた。 長い睫毛と筋の通った鼻。 ちょこんと可愛いおちょぼ口を、意味も無く尖らせて·····長女『真美香(まみか)』が身動(みじろ)ぎする。 予定日より、少し早い出産だ。 だが、母子ともに健やかである。
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