ウメちゃん☆喰らいMAX

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. ウメちゃんは前回来た時、僕に得意気に話してくれたんだ。 彼女の胃袋は普通の人よりも背中側にあって、それによっていくら膨張しても、あばらや他の臓器を圧迫しないような作りになってるんだって。 そう言われてもいまいちピンと来なかった僕は、やっぱり今でも、この小さくて細い体の、どこにあれだけのラーメンが入るのか不思議でしょうがない。 おやっさんは、胃袋が大爆発するくらいの量のラーメンということで、ウルトラビッグバンラーメンって名付けたらしいけど、今のところはこの小さなブラックホールに3連敗中。 総額2万100円をあっさりと明け渡したのだから、額の青筋もどんどん深くなっていくばかり。 「おい、カンゴっ! 何ボサッとしてやがる、さっさと厨房へ来て手伝いやがれっ!」 「は、はいっ、すぐ行きますっ!」 おやっさんに怒鳴られ、慌てて厨房へ駆け込んだ僕は、テーブルに置かれていた丼の大きさに思わず目を疑ってしまった。 いや、これはラーメン丼と言えるのだろうか? ホテルのエントランスなんかに飾られてある、でっかい観葉植物の植木鉢──そんなふうにしか見えなくて、明らかに前回の丼よりも、格段にグレードアップしている。 冗談としか思えないその器を拭きながら、おやっさんは僕に、くそ真面目な顔で言うんだ。 「いいかカンゴ、今日という今日は、絶対にあの小娘の鼻をあかしてやる。 大食いYouTuberをも返り討ちにしてやったうちのビッグバンラーメン、あんな小娘にそう何度も攻略させてたまるかよ!」 おやっさんは、本気だった。 取り出した麺は、どう見ても軽く10玉を超えていた。 チャーシューは豚の脚1本くらい、もやしに至っては網から水揚げされる時のシラウオみたいに、際限のない山を築き上げていく。 親のカタキみたいな鬼気迫る形相で、おやっさんは包丁をふるい続けた。 大量のスープは、執念の権現みたいにグラグラ煮えたぎり、 敵を殴り倒すような凄まじい湯切りを、必死の汗だくで繰り返した。 そしてついに完成した【ウルトラビッグバンラーメン・スーパーデラックス】 巨大な植木鉢丼には、重力の許す限りに積み上げたもやしの外壁、それをびっしりと二重三重で防護するチャーシューの鎧。 本体である麺はもちろん微塵も見えなくて、僕はそれを目の前に、思わず立ち眩んでしまっていた。 .
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