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祖母が永眠の地へ旅立った。
母が生まれ育った家で、従兄達と祖母の葬儀の支度を手伝っていた時、私は祖母の写真立てを、タンスの引き出しか
ら見付けた。
「お母さん、これお母さんの?」
喪服に着替えていた母が、眼を紅くしながら私の手にある写真を見た。
「写っているのは私じゃないわ。おばあちゃんね…隣に写っているのは誰かしら」
モノクロ写真には、若い頃のおばあちゃんと、軍服を着た兵士。なかなかのハンサムだ。
「…これ、おじいちゃんかな?」
「うーん…おじいちゃんはこんなハンサムじゃなかったわ」
祖父は10年前に、癌を患って他界している。では、私が昔見たあの人は誰なんだろう?
「麻紀さんこっちいいかしら」
親戚の人に呼ばれた母が、今行くと返事をして私を振り返った。
「おばあちゃんの葬儀用の写真、早く捜してね? 葬儀屋さんに加工して貰うから」
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