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「でもね、ママは一口食べてからビックリした顔をしてたよ。信じられないくらいに美味しい!って。多分、よっぽど酷いパターンを想像してたんだろうね」
「ふーん。流石に『手が込んでる』って分かったんだね。良かったじゃん。じゃぁ……もし『それ』が分かって貰えなかったら、パパとママは結婚してなかった?」
ミカが僕の顔を覗き込む。
「……いや、それは関係無かっただろうね。『パパはママのために遣りたい事をやった』それだけだよ。その結果として、パパはママの笑顔が見れたから、それで充分さ。別に、オイスターソースに罪は無いよ。『愛情』って言うのは、多分そういう物なのさ。お前も大人になれば分かる時が来ると思うよ」
そう言って、僕はミカに微笑んだ。
え?何で僕が『そんな話』を娘にしたかって?
それは、台所からカレーのいい匂いが漂って来たからさ。
完
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