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 "また、例の現象が起きたよ"  待ちに待った、シオリからのLINEが届いたのは、本日十月八日の夕方のことだった。俺は早速通話モードにして彼女に電話をかける。  シオリはすぐに呼び出しに応じた。 「もしもし」 『カズ兄ぃ、久しぶり』  少し湿り気を帯びた、シオリの声。 「さっそくだけど……間違いないんだろうな?」 『間違いないと思う。でもね……今回は八幡神社じゃないげん』 「え? だったら、どこで起きたんだよ?」 『西宮(にしみや)神社ねんて。港に近い神社。あの時と同じで、夜、灯りが漏れとった』 「お前……良く気づいたな」 『ウチもね、あれから八幡神社はちょくちょく見とってん。だけどいつも何も起こらんしぃ、こらぁダメかな、と思ってんて。ほやけどぉンね、昨日西宮神社の恵比須山祭りやってんて。ウチ、祭りは見に行かんかってんけどぉ、なんか胸騒ぎがして……祭りの後、夜に西宮神社行ってみたら……案の定やわいね』 「何で夏の時と場所が変わったんだ?」 『そんなんウチにも分からんわいね。けどぉ、西宮神社ってぇンね、八幡神社と合祀されとるみたいでぇ、祀っとるがんは同じ神様になるげんね。でも元々西宮神社は恵比須さんを祀っとったらしくて、恵比須堂とも言われとれんけど』 「なるほど」  ってことは、パソコンのOSの、ファイルに対するショートカットみたいなもんか。結局本体は一緒、ってことだな。
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