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『ほやけどぉ……なんか、偶然とは思えん。この前の時もそうやったしぃ……やっぱウチ……呼ばれとるんかな?』
シオリが今感じているだろう漠然とした不安が、低いトーン、小さいボリューム、はっきりしない口調となって彼女の声にまとわりついていた。
「そうかもしれないな。シオリ……恐いか?」
『そんなことないよ。ウチなんも恐くない。カズ兄ぃが一緒にいてくれれんたら、ね』
「それは大丈夫だ。ヤツに会うときは、もちろん俺も一緒だ。お前が呼ばれてる、っていうんなら、それはむしろ望むところだよ」
『良かった。ほんならカズ兄ぃ、また来てくれれんね』
「ああ。だけど、俺ももう大学始まってるからな。まあ、平日でも行けないことはないが……」
『ウチだって学校あっさかいね。ほやけどぉンね、今週の十二日の土曜日ってぇンね、カズ兄ぃもお休みやろ?』
「まあな」
『その日、恵比須祭りがあるげん』
「……ちょっと待て。それ、昨日終わったんじゃないのか?」
『違ごげん。それは恵比須山祭りや。ちっちゃいけど一台山車も出るげん。でも十二日の恵比須祭りは山車も出んし、お宮さんの中だけでやる、さらに小じんまりとした祭りや』
なんか、紛らわしいなあ。
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