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 シオリの家。夕食は超豪華な海の幸のオンパレードだった。祭りということもあるが、それ以上に俺を歓迎する意図の方が強そうだ。とにかく新鮮そうな刺身がこれでもか、とばかりに大皿に盛られている。 「カンパーイ!」  並んだ俺とシオリ、テーブルを挟んで向かいのイチロウ伯父さんとヤスコ伯母さんの四人が、揃ってグラスを持ち上げて軽くぶつける。今日は一応俺はノンアルコールのビールにしてもらった。  今回の訪問はちょうど今大学の研究室で行っている研究の一環で、今日の夜にそのデータをまとめなければならないから、というと、伯父さんは残念そうだったが、「明日は飲めれんな?」と聞いて俺が「ええ!」とうなずくと、ニコニコしながら「よっしゃ。そんなら今日は我慢しとくわ」と納得してくれた。  だけど、もちろん俺が言ったのは本当の理由じゃない。夜に控えている、神社でのミッションのためだ。仮にも「神」と名乗る存在に酔っ払った状態で会うのは、あまりにも失礼だろう。 「さあさ、たぁんと食べまっし!」伯母さんが刺身をよそってくれた。  これは……ブリかな? それと、もう一つは……なんだろう。白身なのかな。でも赤い線が入ってる。 「これはガンド。で、こっちはノドグロ」伯母さんが指を差して教えてくれた。どちらも聞いたことがない名前だ。 「ガンドはブリの若い奴や」と、伯母さん。「東京じゃなんていうか知らんけど。ノドグロは白身やけど、脂が乗ってて旨いげんよ。焼いても煮ても旨い魚や」 「へぇ……それじゃ、いただきます」  まずは、ガンドから……うん。確かにブリだ。でも、あんまり脂っぽい感じがないけど、これはこれでおいしい。そして、ノドグロ……おお、これも旨い! なんだろう、脂が強いけど全然しつこくない。噛むとどんどん旨味が出てくるような…… 「おいしいです!」俺が思わずニコニコ顔でそう言うと、 「「「ほうやろ?」」」俺以外の三人の声がそろった。
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