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「そういや、最近あんまり聞かねぇな」
沢でザリガニ釣りをした帰り道。
三津影山の麓。手製の釣りざおを肩に担いで先頭を歩く胡鶴が足を止めた。振り向いて山の様子を見やるが、もうあの悲痛な慟哭は聞こえてこない。
「やっぱ風のせいだったのかね」
思案顔で首を傾げる透真の言葉を「まさかぁ」と凌がのんびりした声で否定する。
不思議そうに目を瞬かせてこちらを見る2人に、凌は訳知り顔でにっこりと笑って見せた。
「もう寂しくないからだよ、きっと」
そう言う彼のそばを、強い風が山の方へ向かって通り抜けた。ざわざわと木の揺れる音が重なっては消えていく。
けれど、山はひっそりとしていた。
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