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第2章
満月の夜です。
「森」は月明かりの下で、その輪郭をぼんやりとさせていました。
樹々の隙間から漏れる月明かりを頼りに、けもの道の短い雑草を踏みしめながら、小人たちが息を切らせつつ急ぎ奥へと向かいます。
ぽっかり空いた樹々の隙間から満月が覗くあたりで、小人たちは歩みを止めました。
雑草が刈られいくぶん盛り上がった場所に、何種類かの花が咲いています。
5人の小人たちは、その盛り土の前で掌を合わせました。
かたきはとってやったぞ
姉さまのかたきはとってやったぞ
………
あいつに手紙を書いてやらないとな
かたきは果たしたぞと
………
でもあいつら意外と手間をとらせやがって
こんな時間になってしまった
もう夜明けが近いぞ
………
陽が昇ったら
おれたちは、すぐに村人に見つかってしまう
見つからずに逃げることは困難だ
どうしようか
………
昼間は木陰に隠れて
また陽が落ちるのを待つしかないだろう
………
陽が落ちるまで寝て待つことにしよう
………
5人の小人たちは、樹々が密集し背の高い雑草に覆われた木陰に身を隠しました。
樹々の隙間から、やや白み始めた夜空に満月がやや明るさを失いながらも、ぼんやりとした「森」を見守っていました。
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