纏わりつくような暑さは、むしろ心地よかった。

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 世界が青黒くなったり、真夏の太陽に透かした葉の色になったりすることで一日が過ぎるのを知る。ただぼぅっと何もしない日々を人間の時に過ごさなかったわけではない。しかし、本当に息しかしていない状態で長時間過ごすなど初めてだ。快適でも不快でもない時間がじんわりと過ぎていく。  状況が転じたのは蛹になって五日目のことだった。大きな揺れ、べきべきという轟音。  僕は無事だ。ただ、何があったのかはわからない。しかし揺れるとどろどろの体が揺さぶられて、神経に響く痛みがある。苦しい。痛い。暫くその揺れは続いていたが、大きな音と共にそれは止んだ。  何だったのだろうと訝しんだついでに、体の変調に気付いた。今まで気になっていなかったが、なんだか、まるで腹の中にたくさんガスでもため込んだ時のような窮屈な心地悪さを感じるのだ。  しかし、僕にはそれが何かと確かめるすべがない。僕は盲目で、しかも体の中のことだ。人間なら医者にかかるところだが、虫に病院はない。薄暗い場所で日々を過ごす中でその違和感は痛みに変わっていった。痛い。
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