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魔法使いの彼女
大きなゴミ袋を抱え店の裏口から外に出ると、休憩中の秋生先輩が両手を上げていた。宇宙と交信でもしているんだろうか。
俺は声を掛ける。
「先輩。何やってるんです?」
「光合成」
「は?」
宇宙と交信よりはまともな答えが返ってきた。
「気持ち良いよー。米田君もやりなよ」
先輩は振り返ってふにゃりと笑った。俺はゴミ袋を持ったまま彼女に近付く。
「残念ながら俺にはできません」
「やる前から諦めちゃ駄目だよ」
「諦めるとかそういう問題じゃなくてですね……」
「お天気が良い日には沢山外に出ないと」
先輩は上げていた手を下ろし、胸の前でぎゅっと握り締めた。
「チャージ完了だよ」
一人頷く先輩に俺は苦笑する。
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