魔法使いの彼女

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「先輩。そういうのは光合成じゃなくって日光浴って言うんです」  先輩はにやりと笑って、人差し指をチチチと振った。 「違うよ、米田君。日光浴って日光を浴びるだけでしょ? 光合成っていうのはね、日光を浴びて、お日様の力で元気の元を作り出して、チャージすることなんだよ」 「それは光合成の解釈が間違ってます。光合成っていうのは植物が日光を使って二酸化炭素から酸素を作ることです。酸素をたっぷり吸って二酸化炭素を吐き出してる先輩は光合成をしているとは言えません」  顎を持ち上げ言ってやると、先輩はぷくりと頬を膨らませる。 「じゃあ、逆光合成」 「じゃあって」  はははと笑うと「それで良いの!」と可愛い顔で睨まれた。  五十嵐秋生先輩。一歩間違うと不思議ちゃん認定されそうな――もうされているかもしれないけれど――ぽやぽや系おっとり女子。くるくるとした丸い瞳にさわり心地の良さそうなふわふわなほっぺた、ぷっくりとしたピンクの唇をした童顔の持ち主で、これでも俺より二つ歳上の大学生だ。
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