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どういうことだ。ココロと玄関であったなら、カバンを確認してからのタイムラグがほぼないじゃないか。一体どういう……。
クラスの生徒達は更にヒートアップしていく。駄目だ。抑ええられない。
そんな狂乱の中、場を制したのはやはりココロだった。
「あー。あー。みんな落ち着いてください。説明しますから」
クラスが一気に静まり返る。
ココロなら、この名探偵なら、よくわからない状況をひっくり返してくるに違いない。
「えーと。では、カバンを盗った方法について考えてみましょう」
そうだ。方法については全く触れていない。
ココロは続ける。
「誰が来るともわからない状況で、カバンを持ち去るのはとても危険ですよね?例えば、先生が持っていたらすぐわかりますし、生徒が持っていたらカバンがニつになってしまう」
確かに。自分から怪しいと言っているようなものだ。
「と、言うことは時間のない中一番手っ取り早い方法としてカバンの中にカバンを入れる方法があります」
なるほど、犯人はそうやって短時間でカバンを持ち出したのか。
誰にも怪しまれずに。
「ところで、ミオちゃん。僕と玄関ですれ違った時何か気付いたことはないかな?」
ココロはミオに問う。
「え?特に誰もいなかったような」
おそらくそうじゃない。
ココロが聞きたいのはきっと……。
「例えば、僕を見て何か違和感とかあったんじゃない?」
ミオの表情がみるみる変わっていく。
恐ろしいものを思い出したかのような。
そして、ミオの口から衝撃の事実が飛び出した。
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