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「え、えっと確かあの時階段から降りて下駄箱に向かった人がいて……」
「誰だかわかる?」
必死に記憶を絞り出すサトシ。
気になって仕方がないクラスの皆。
後押しをするココロ。
そして、サトシの口が開かれた。
「あ、思い出した! あの時下駄箱に向かってたのは――ココロだ」
「えーーー!」
クラス全体が騒ぎ出す。
隣の南先生も目をパチクリさせている。
私も皆と同じ気持ちだ。
まさか綺麗に道筋を立てておきながら、当の本人が事件の中心人物になるなんて。とはいえココロの事だ。
きっとここから名推理が待っているに違いないと、私は思っていた。しかし、次に待つ彼の推理に全員がさらに驚嘆する。
「はい。実はサトシくんの言う通り、僕はそこにいました。そして、僕はミオちゃんのカバンを確認しています。それは多少の誤差はあるかもしれませんが、ミオちゃんがカバンを置いてから約十五分後」
南先生はいてもたってもいられなくなったのだろう。
椅子から立ち上がりココロに質問する。
「じゃ、じゃあココロ君がいなくなってからの五分間にカバンを誰かが盗んだってこと?」
そういうことになる。五分間で盗むとなるとかなり人数が絞れる。
誰だ。まさかサトシ? いや、下駄箱から職員室は近い。教師の誰かなのか。
「ま、待ってよ! それっておかしい!」
声を荒げたのはミオだった。
ミオは焦りながらも言葉を紡ぐ。
「だ、だってココロくん! 玄関前でわたしと会ったじゃない!」
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