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今後を話し合う
「で、和君は今後どうするの?」
おかずを頬張りながら、彩が聞いてくる。そこで俺は、現時点で考えている事を彩に話す。
まずは今の仕事は辞めた事。次に、住んでいたマンションの部屋を引き払う事。今後の生活をどうするかは彩の部屋に住みながら考える。
「携帯は今のこれのままでいこうかと思う。ただ、辞めた会社の人間や親からの電話には一切出ないけどな」
出れるわけがない。誰が少女になったなど信じるものか。俺の言葉に彩は「そうね」と笑いながら頷いた。
「それはそうと、和君。服とかどうする? 何着か買ってたみたいだけど足りるの?」
「ああ、一応3着くらいずつ買ったよ。靴はスニーカーとブーツを1足ずつ」
荷物の山から昼に買った服を出して彩に見せる。どれも当たり障りのない飾り気の少ない服だ。下着に関しては少し可愛いやつにしたけど、本来の俺の趣味じゃない。靴下はまだ寒い時期だから丈の長いサイハイソックスばかりだ。さすがにストッキングにはまだ抵抗がある。
俺の買った服を見た彩は一言。
「うん、少ない。男性ならこれで十分だろうけど、女の子はおしゃれするものだからすくなくてもこの倍は欲しいかな」
ファッションセンスには文句はないようだが、数が心もとないようだ。俺の買った服が少ないのは金銭的な問題もあったからだ。仕方がない。
「うん、明日会社行って有給取ってくるから、明後日買い物に行こう」
彩が何か言い始めた。
「いいのか?」
「いいのよ。なかなか使う機会がないし、使わないのはもったいないわ」
ま、彩がいいならそれでいいか。そういう事で、火曜日に今日行った服屋さんにまた行く事となった。
「そうだ。和君、もう一ついい?」
「ん、なに?」
「学校に通う? その姿じゃ日中は学校に通ってないと怪しまれると思うから」
確かにそうだ。俺の今の姿は中学生か高校生か、それくらいの背丈になっている。学校にいるはずの平日の日中に出歩くのは、確かに変な目で見られかねない。
「そうだな。いつまでこの姿か分からないが、しばらくこの姿で過ごすつもりだし、通うのも悪くないか」
俺は彩の申し出を了承する。でも、今は3月になったくらいなのでしばらく周囲をごまかしながら様子見。4月になっても少女のままなら学校に通う、という事で落ち着いた。でも、転校ならまだしも、学校への編入ってそんな簡単にできるのか? まあいいや、深く考えるだけ無駄だ。もうなるようになれ。
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