彩とお出かけ

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彩とお出かけ

「ただいま」と彩が帰ってきた。俺は「おかえり」と出迎える。ご飯はまだできてないからと、沸いたばかりのお風呂へ彩を行かせた。俺も後で入らなきゃな。  彩がお風呂から出てくる。ご飯の支度はできているので、彩を座らせる。俺は彩を見る。……でかい。羨ましくなんかないので、さっさとご飯を食べる。  ご飯を食べながら、明日の事を聞く。どうやらいろいろ回ろうと考えていたらしいが、とりあえずは服屋さんは確実に行くらしい。俺の戸籍も一応作るかどうか考えているらしいが、俺がいつまで少女の姿で居るのか分からないので、戸籍の件は保留となった。  俺からの方もマンションの部屋と携帯の事も話はした。彩も詳しく分からないというので、こっちも保留となった。話が全て済むとご飯を平らげ、洗い物を済ませてから俺も風呂に入って寝る事にした。  翌朝、俺たちは目を覚ますと朝ご飯を済ませる。お出かけ用の服に着替えると俺たちは開店時間まで部屋で時間をつぶしていた。  今日の俺の格好は、最後の1セット。セット販売になっていた白のキャミソールワンピースと黒のタートルネックのシャツに、他の2足とは違うグレーのリブサイハイソックスだ。彩の方はチェック柄のポロシャツにシンプルなロングスカート、防寒用に黒のタイツを穿()いている。上着はたまたまお揃いのデニムのジャケットだった。  それにしても、彩の胸はこんなに大きかったかな。体も程よい細さだし、ほっとかない程度に美人になったと思う。なんで、俺は彩を振ったんだ。わけが分からないよ。俺が彩をじっと見ていると、彩がこっちに気付いて「なにかな?」と言わんばかりににこっと笑う。俺は、 「いや、きれいになったなと思って」 素直な感想を漏らすと、彩は「ありがとう」と言う。その時の彩の表情は、男の時ならドキッとしたかもしれないが、少女となった今ではただ単に照れてしまうだけだった。  その後も俺たちは雑談をしていた。洗濯機がゴウンゴウンと音を立てる以外は静かなものだ。ふと見た時計が程よい時間を示していたので、いよいよ出かける事にする。ベランダから望む空はいい感じの快晴だ。洗濯物もしておいて正解だっただろう。洗濯物を干した俺たちは、靴を履いて外へ出た。
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