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髪で遊ばれる
最後に髪飾りを見る事にする。
俺の髪の毛は、男の時のサラサラなストレートとは違い、同じサラサラだが軽くウェーブのかかった髪で、長さは肩より少し下まである。前髪も眉辺りまで下がっているので、邪魔にならないように髪をまとめる必要がある。それでそのための髪飾りというわけだ。
「切ればいいんじゃないのか?」という俺の意見は、出かける前に彩に却下された。ま、髪は女の命と言われるくらいだしな。髪型を変えるのは気分転換にもなるから、髪飾りを買う事を了承した。
彩と一緒にヘアバンドやシュシュ、ヘアゴムにヘアピンを見ているが、よく分からない。髪を留めるだけならシンプルなヘアピンやゴムがいいとは思うんだが、彩は「かずみちゃんは可愛いからちゃんとおしゃれしなきゃダメ」と言って聞かなかった。
彩が鏡の前で俺の髪を触る。両手で持って、ポニーテールにしたりツインテールにしたり、前髪を上げてみたりしている。
「うん、髪が少し曲っ毛だからどうかと思ったけど、どれも似合って可愛い」
笑顔でそう言われても、俺は恥ずかしいだけなんだが。何が悲しくて赤の他人がうろつく中で髪をいじられなければならないんだ。俺は顔を赤くしながらプルプルと震えてる。しかし、彩はそんな俺に気付かず、楽しそうに髪をいじってくる。いい加減にしてくれ。恥辱に耐えられず、彩の方を振り向いてにらむ。やっと、彩は髪をいじるのを止めた。
彩のいたずらから解放された俺は、ヘアバンド(カチューシャと呼ばれるタイプ)とシュシュ、それとリボンを選んだ。彩が可愛いを連呼するもんだから、地味な物を避けた形だ。あと、前髪を左右に流すためのヘアピンも選んだ。
これで買い物は全て終わった。合計金額を見るのが怖い。彩は「これくらいは仕方ないから気にしないでよ」とは言うものの、やっぱり怖い。まあ、彩ならしっかりしているからそこそこの貯金はあるだろうし、今回は言葉に甘えさせてもらおう。
会計を済ませると、荷物が両手いっぱいになっていた。レジに行くまでも抱えていたから当たり前だ。
「一回部屋に戻らないとね」
彩が笑いながら言う。
「そうだね」
俺も彩の顔を見て笑う。
俺たちは店を出ると、彩の部屋まで会話をしながら歩いて戻っていった。
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