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考える
ぐぅー……。
お腹の音が鳴るので、俺は対策を考えるのは後にして朝ご飯にする。体が縮んだのでいつもと勝手が違うものの、意外とあまり影響がなかったようだ。ただ、味付けに少し首を傾げたくらいだ。女子化した事で味覚が変わったという事か? あと、いつもの量なのに満腹でお腹が痛くなりかけたくらいだ。やはり違うんだな。
慌てても仕方ないと、意外にも俺は落ち着いていた。朝食の時から今後の事を考えている。
ひとつ結論を出す。
……今働いている会社は辞めよう。正直いつ元に戻れるか分からない。むしろ、一生このままかも知れない。ならば、女癖の悪さもあって少々人間関係がギスギスしてしまったし、戻れないならどのみち無断欠勤になってしまうので会社に居続ける理由がない。
俺は早速行動する。
まず、会社のホームページから、有給申請と退社届のファイルをダウンロードする。会社のフォーマットを使えば、メールからでも申請の処理をしてくれるので地味にありがたい。今日は休日で会社は休みだが、面倒なので早めにすましておく。
次に服だな。さすがにいつまでもこんな丈余りの服を着ているわけにもいかない。ただ、自分のサイズが分からない。ネットで女性のサイズの事を調べると、メジャーを出して自分のサイズを測る事にする。
おもむろに服を脱ぐ。改めて見てみても元の自分の体ではない。
普段から鍛えていた男の体は、ほどほどの筋肉質だ。それがどうだろう。全体的に細くて丸い。丸いと言っても太っているわけではなく、筋肉質ではなくなっただけだ。細身の体にほどよい膨らみのある胸、でっぱりの無くなった下腹部。いやでも女になった事を認識させられる。
よくよく見ると、髪の毛ももとより伸びている。肩より下まで伸びた髪は軽く波打っている。これだけ伸びていれば遊んでみたくはなるが、寒い時期なので風邪をひかないうちにさっさと体のサイズを測っておく。
最後に足のサイズも忘れずに測っておく。靴がなければ出かけられない。
落ち着いているように思えるけど、慌てても仕方ないだけだ。まったくもって落ち着いてはいないぞ。
最後にお金の問題。数か月働かなくても大丈夫なようにはしてあるが、想定外というか非常識な事態に陥ったがために、見通しが不明になってしまった。
女物の服を買うにしても数セットは必要。服も靴もそれなりに値段がするのは分かっている。安く買えたとしても数万円は確実に飛ぶ。通販で買うにしても最低数日間かかる。食事は買ってこないと今夜から食べられない。一度は男物を着て出かけざるをえなかった。
俺は出かける覚悟を決めた。
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