揺れる想い

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「連絡しない間、ずっとモヤモヤしてた。メッセージでもいいから話がしたい。他愛のないやり取りで全然いい。でも、あまりしつこいと本当に逃げられる。どれくらい時間を空ければいいものなのか……こういうの、経験ないからわからなかった」  眉尻を下げ、自嘲的な笑みを浮かべる岳を見て、たまらない気持ちになる。   自分のことでこれほど頭を悩ませてくれていたのだと思うと、申し訳ないと思いつつも、ほんの少しだけ、嬉しいという気持ちがあることも否定できなかった。 「もう我慢の限界だったんだ。だから、いきなり会いに行った」  研究所の受付に岳がいるのを見つけた時、間抜けな声を出してしまうほど驚いた。  理真は吐息し、視線を落とす。 「連絡なしにいきなりだったので、驚きました。……入れ違いになったらどうするつもりだったんですか」  研究所には裏口もある。そこから帰る人間もいるのだ。裏口は受付とは逆方向にあるので、理真がもしも裏口から帰ってしまえば捕まらない。 「そんなの、考えてなかった」 「……考えなしですか」  連絡を絶ってこちらをやきもきさせておきながら、詰めが甘い。理真が呆れていると、岳が肩を竦めて笑い出す。 「とにかく会いたかったから。連絡しておこうとか、入れ違いになるとか、全然考えてなかった」 「……」 「こういうのも、初めてだ」  そう言って無邪気な顔で笑う岳を見て、反則だと思った。  後先考えずに突っ走ってしまうほど好きなんだ、そんな風に告白されているような気になる。そして、そんな風に思ってしまった瞬間、理真の鼓動が速くなった。
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