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「最強のギャップ萌え。狙ってるかと思うくらいの」
「狙ってません」
「うん、知ってる」
「狙ってないから、よけい夢中になった」、そんな言葉を囁きながら、何度も何度もキスをする。熱と甘さが入り混じったキスに、頭が朦朧としてくる。身体にはもう力など入らない。ただ、与えられるものを甘受するだけで精一杯だった。
肌に触れる全てが酷く熱を持ち、触れられた場所から赤く色づいていく。指先、唇、直に触れ合うお互いの素肌、それらの熱を吸収したかのように、吐息までもが熱を帯びていた。頬を伝う涙でさえ、熱い。
涙は岳の舌に掬い取られ、そのまま目尻に唇が押し当てられる。大切に守るかのように優しく、堰を切ったように激しく、岳は想いをぶつけてくる。全てに予測がつかず、理真はただ流れの赴くままに翻弄されるだけだ。
「理真」
うっすらと目を開けると、岳の瞳は自分の名を呼べと言っていた。理真は吐息まじりでそれに応える。
「桐島……さん」
「岳、って呼んで」
「……」
「理真」
甘くねだられ、口を開く。しかし、今はまだどうしても声にならない。
岳は小さく笑み、理真のこめかみにキスをした。
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