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「ま、いいか。夜はまだこれからだし、気長にいこうかな。……朝までには言わせてみせるから」
そう言って、意地悪く笑う。
朝までなど、まだ何時間もある。その間ずっと翻弄されるのかと思った時、我に返りそうになった。
何とかしようと口を開きかけると、岳の指が理真の唇に触れる。
「まだ粘っていいよ。というか、むしろ粘って。じっくりと攻略して、陥落させるから」
全身がゾクリと粟立った。
敵わないのは最初からわかっている。それなら、さっさと降参した方がいい。そう思って岳の名を呼ぼうとするが、その度に阻止されてしまい、思わぬ甘い声が漏れる。
呼んでほしいと言ったのはそっちなのに。早々に降参して呼ぼうとしているのに。
「も……呼ぶ……から」
「あれ? 意外と素直。……こういうのもデレ?」
「……知らな……い……」
「ダメだよ。本当に……可愛すぎるから」
焦らされ、攻められ、もう何が何だかわからなくなっていた。何も考えられない。
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