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「うおぉぉぉぉ~っっ!」
小声で奇声を発する咲に、理真はポスンと咲の頭を軽くはたく。向かいに座っている新は、そんな咲に若干引き気味だ。
「林田さんが変わった子だっていうのは何となく感じてたけど、マジだな」
「失礼ですよ、くすしんさんっ!」
咲は憮然とした顔をする。しかしすぐにその表情はにんまりと緩む。
「いやぁ……一時はどうなることかと思いましたが、ちゃんとまとまってよかったよかった! 満足!」
「満足って何?」
「どこ視点……?」
とある日の夜、これまでのお礼と報告を兼ね、理真は咲と新を食事に誘った。誘った時点でこの二人は何の話かわかっている。
「まぁ……お前がいいんなら、これでよかったんだろ」
少し複雑な表情ではあるが、清々しくもある。気の合う同期が勇気ある一歩を踏み出したのだ。新としても、もう吹っ切っていた。
「くすしんさん、潔いですね。さすがモテ男」
「え? そうなの?」
「やだ理真さん、知らないんですか? さっぱりしてて面倒見が良くて頼れる兄貴ってモテモテですよ?」
「それ、女からとはとても思えないんだが……」
「ですね。男にモテモテです」
「あんま嬉しくない」
二人のやり取りにクスクスと肩を震わせる。遠慮のない咲に、新も何気にリラックスしている。いいコンビだな、と思った。
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