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「だーかーらー……あの時はごめんって謝ってるのに」
「でも、理真さんが私の部屋に泊まった時も、やっぱり寝ちゃいましたよねぇ?」
咲はどうしても理真と一晩中女子トークがしたかったらしく、今度は理真を自分の部屋へ招待した。しかし、理真はまたしても同じ過ちを繰り返してしまったのだ。
「それくらい寝つき抜群な理真さんが眠れないって何ですか? よほどの心配事? 開発スケジュールは今のところ順調だし、心配することなんてありますか?」
仕事は順調だ。こういった研究職の場合、うまくいかないことも多々ある。うまくいかないことの方が多いかもしれない。
しかし、粘り強く続けていれば、ある日突然報われることがあることも知っていた。だから、仕事に関して眠れなくなるほど不安に思ったことはない。
「ねぇ、咲」
「何ですか?」
「桐島さんからメッセージ来る?」
理真の顔を見て、ははーん、といった顔で咲が笑った。
「桐島さんのラブラブ攻撃にやられてましたか」
「あの人、実は暇なんじゃないの?」
「いつも忙しいっぽいことは言ってましたよ。でも、いくら忙しくても理真さんにメッセージする時間は作ってるんじゃないですか?」
そんなもの、作らなくてもいいのにと思う。
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