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問題編
堂島愛は、大事な物には惜しみない愛情を注ぐ。
大学進学祝いに買ってもらった携帯ゲーム機には指紋一つ付いていないくらいだ。
愛は、肩の位置で綺麗に切りそろえた茶髪を揺らしながらゲームに没頭する。
まただ……。
妹である星奈の物欲しそうな視線を感じる。
愛の母が言うには「もう、二十二歳にもなっているんだから譲って上げなさい」だ。
愛にとってこれは宝物のようなもの。
そう簡単に渡すわけにはいかなかった。
でも、もう限界なのだろう。
「明日にはクリアできるから、明日あげるね?」
「え? ほんと!?」
「うん。任せなさい!」
翌日――
愛は妹にゲーム機を落として壊してしまったと告げた。
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