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途中。
「ねえねえ。ともちんは妄想探偵って知ってるう?」
「誰?」
それなら知ってる――と心が口を挿む。
「確か、事件が起きる前に解決してしまうって都市伝説だろ?」
へえ。物好きな探偵もいたものだ。
噂でしかないのだろうけど。
「そうそう。でさあ、話変わるんだけどお――」
と、愛は先に話題を出しておきながら一変して違う話に切り替える。
コロコロと節操のない……。
「ともちんはクロたんの事、心って呼ぶけどクロたんって呼んだ方がかわいいよう」
また急な。
「どっちでもいいと思うけど」
「ダメ! ともちんもクロたんって呼ばなきゃ。クロたんもその方がいいよねえ?」
愛がこんなに必死になるなんて珍しい。
「どちらでもいいよ。ただ、すぐに呼び方を変えるのは難しいだろうね。でも――」
クロたんって呼び方も気に入ってるよ――と愛へのフォローも欠かさない。
心はきっと人生損するタイプだ。
「ぷう」
愛は頬を膨らませた。ほんと、分りやすくてかわいいな。
そのあとも、コロコロと変わる愛の会話に付き合い、大学の前までやってきた。
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